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バイステックの原則と相対性理論や不確定性原理みたいな

タイトル長い方が目立つかなと思って…すいません。

少しずつ読んでいたF・P・バイステック著「ケースワークの原則」を読み終わりました。

作業所に勤めていて今まで読んでなかったのは不勉強としか言いようがありませんが、PSW実習に向けて一歩ずつ進めています。この本は対人援助職の基本について書かれたソーシャルワーカーのための名著です。

クライエントを援助する際の7つの原則が挙げられています。「バイステックの7原則」です。

1.クライエントを個人として捉える(個別化)
2.クライエントの感情表現を大切にする(意図的な感情の表出)
3.援助者は自分の感情を自覚して吟味する(統制された情緒的関与)
4.受けとめる(受容)
5.クライエントを一方的に非難しない(非審判的態度)
6.クライエントの自己決定を促して尊重する(クライエントの自己決定)
7.秘密を保持して信頼感を醸成する(秘密保持)

以上が挙げられています。このお題目が一人歩きしてしまうといろいろ勘違いを生みそうなところもあり、この原則の意味するところはじっくり本を読んでいろいろ考える必要があると思います。まだ私も十分には咀嚼できておらず、現場実習においていろいろ学んでこなければいけないと考えています。

こういうありがたい教科書があるわけで、
人生における問題なんかに困ってるクライエントにこの原則にのっとってワーカーが援助活動を展開していく…。
…のかなあ?…ちとちがうぞ。

で、読んでみて思うのは、「クライエントの問題に対してワーカーが援助することで問題が解決する」というような単純なものではないのだなということです。クライエントは外部からの操作によって矯正されるのではない。さらに言えば「援助者」によって導かれるものでもない。もっと言ってしまうと援助されるのでもないのかもしれない。…少し言いすぎか?

ここで、相対性理論と不確定性原理を思い浮かべます。付け焼刃の物理学。

ある事象を観測するときには観測者の状態が観測に影響を及ぼし、そこで起こっていることが定まった状態に観測できなくなる。相対性理論では光の速さに近づいた物体は質量が変化してしまうし、量子論の世界では観測のためにたとえば光子を観測対象とやりとりしてしまうとそれで状態が変化してしまって正確な測位等ができなくなる。

物理学は専門外なのでおおざっぱにそんな理解をしているのですが、この様子とケースワークの現場を重ねて考えてしまいます。

極端に大きな力を及ぼす援助活動や、援助する側とされる側の力関係が近い場合など、アセスメントなどを経ても、あらかじめ援助の結果を読むことはできなくなるのではないかと思うのです。なにがおこるかわからない。もっというと「する側」「される側」という立場を考えるのが不自然な状況にあるのではないかと。私の印象では「対等」という考え方とも違うと思うので、そこではなんらかの「アクシデント」が起こるのみというべきなのでしょうか。

原則にある「個別化」がつきつめられると当然、援助に関わる力関係の具合もワーカーがコントロールできるとは限らないわけでそのほかの原則も極論してしまえば「出たとこ勝負」のいきあたりばったり。複雑な力学が働いて、なんとかおさまるところにおさまっていくものなのかな?…とか考えてしまいます。

なんでこんなことを考えるかというと、当然、私が「当事者」だから。(原則的には当事者でなくても同じはずだけど)
いままで私の見てきたワーカーさんたちは判断力も経験も豊かでさくさく仕事をこなしていきます。
手がつけられないどうしようもないケースも「困難なケース」としてさっくり右から左へ。いや、私がいるところが泡沫作業所だから本物の困難ケースを私が知らないだけかも知らないけど…。
仕事ですからそうなるのもわかるのだけど、なんか…。

確かにある種のパーソナリティ障害の方などを相手にしてたら職業的にはそうするしかないかなあと思ったり。

援助者側の自己覚知が大切だとさかんに聞かされるんですが、私の場合、なんか相当深いところまで掘り返しておかないと援助どころの話ではないわけで。

あ、別に援助する側とされる側がどっちになってもどっちかが救われるんならいいのかな?
ピア・カウンセリングとかの世界を志向していけばいいのか?
他人を援助しようってな大それた考え持つからいけないわけで、「援助してもらうのが仕事」のワーカーってのもありか?

そういうことを言い出すと、じゃPSW取らなくていいじゃん。ってことになっちゃうんでそれもなんかなあ。

今年のぜんせいれんの全国大会でピア・スタッフの分科会があるって言うのでこりゃ行ってみようかなとか思ってたんだけれど、見事に現場実習とバッティング。外国での取り組みの話題とか聞けるのかなあと思ってたんだけど残念。

ええと、論理が弛緩してきちゃったけど、バイステックの原則もどうも丸呑みすると危険そうだという感触を得たということでした。実習まであと1週間。さらに勉強を重ねます。事例検討系の本を読んどこうかな。

だいじょうぶかな…。

あさ: 山ほどの病気と資格と怨念と笑いで腹と頭を抱えてのたうち回っております。何であるのかよくわからない死に直面しつつも、とりあえず自分が死んだら、皆が幸せになるように、非道な進路を取って日々邁進してまいります。
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