「鈍感力」を読んで

「鈍感力」渡辺淳一 を読みました。シバさんのおすすめです。

対「軽症神経症」対策本といったところでしょうか。

繊細に、細かいことに注意を払い、緻密な作業を仕事としている人には毒かもしれません。
いいかげんさが許される世界と、許されない世界があります。

私が前に務めていた工場では、いいかげんさがまかり通っていました。
社長以下、いい加減のかたまり。
経営戦略もいいかげん。品質管理も製造計画も人事もみんないいかげん。
まさに鈍感力の支配する会社でした。

しかし、ISO重視という世の中の流れに逆らうことはできません。
いい加減さをなくすために大量の書類が作成されました。
わたしはそれにからんでいました。ISO9000関連ですね。

会社の仕組みをマニュアルに落とす作業になるわけですが、
鈍感力溢れる会社では、マニュアルなんて作れません。
すべてがいいかげん。

検査していない製品が検査済みとして出荷されているのです。
検査のマニュアルをどう作れというのか・・・。

生産設備もボロボロです。加工機械ごとにまるで違った癖があります。
そこをだましだまし使っているのです。
同じものを違う機械で作れば(機械のスペック、種類はまったく同じ)
同じかというと、それが全く違う。

さらに、材料も品質が一定していない。

さあ、鈍感力の出番です・・・。

日本の自動車はそんな鈍感力によって作られた部品を使用しています。
最高益を享受していた昨年までに下請けをどれだけ救っていたのか。
現在の窮地でそのツケが回ってくることでしょう。

ナイーブな神経では勤められない日本社会。
その象徴としての「鈍感力」だと思います。

読んであんまりいい気持ちがしなかった。
まともそうにみえて、まともじゃないということがあります。
両極端はどちらもいけないのでしょう。

中庸というのもまた違う。
適切なところに適切な配慮を。
それが知恵というものだと思います。

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