読み終わって気づけば、初版は2002年8月の本でした。
統合失調症は脳内の神経伝達物質の働きの異常によって起きる・・・とはよく言われます。
でも、なんでそれが起きるの?と言われた時に、ストレスとそれに対するぜい弱性が基になる・・・と簡単に説明されて終わってしまいます。何だかわかったようなわからないような気がしていました。
なんでストレスがかかると神経伝達物質に異常が生じるのか?
ぜい弱性とは何が原因でどんなものなのか?
問い詰めていけば、「まだよくわからない」ということになります。
この本では、原因を追いかけるというより、発生の機序について説明がなされています。
謎の機関や宇宙人、会社、暴力団が自分を監視し、つけ狙っている・・・
そんな妄想・・・「迫害妄想」を軸に統合失調症の病気の進み方について書かれています。
睡眠の異常や、対人恐怖から、強迫症、迫害的幻覚・妄想へとの流れは、まるで自分のケースを書かれているようで、気味が悪いくらいです。しかし、あらためて自分は統合失調症なのだと確信させられました。
あとがきにもありますが、本来この本は学術書として出版されるべきものでしょう。
でも、新書での発刊。いろいろ事情があるのでしょう。
やはり、新書としては読みにくい部類に入る本です。いろいろな専門用語が入り乱れ、読むのにちょっとつらかったです。でも、統合失調症の普通の書籍とは違った切り口からの書かれ方に、この考え方に基づく臨床のありようなどはどのようになるのかが気になるところです。
この本に対する議論がどこかで行われているのかが気になります。
ちょっと続きが読みたい本でした。