カテゴリー: 読書

読書記録

「狂気の偽装」岩波明

文庫版を読んだ。

少し前の精神系がらみのトピックスをぶった切る本。

精神疾患はカジュアルなものではない。との言葉は重い。
こうやって私のようにブログで自分のことを晒すことへの警鐘も。

マスコミで騒がれる「心の病」は精神疾患未満のことも多いらしい。

厚労省が精神病患者の退院を促すために、
街のクリニックを増加させる戦略を取ったら、
逆に新たな精神疾患が掘り起こされて精神疾患の数が増え、
そして、入院者はあまり退院しなかったため、
心の病が増えてしまったというくだりはそういうことなのかと納得。
近年心を病む人が増えているというのは、これも一因らしい。

有名な精神科医たちが「造語」によって精神病を増やしているというのも
なるほどなと思ったり。
一時期はやった「ゲーム脳」なんかはまるでデタラメだとか。
福島章の説は怪しいとか。

いろんなケースを引いてきてわかりやすく説明されています。

自分の知識の点検の意味も含めてぜひ一読を。
読みやすかったです。

病が娯楽になっている…か。うむ…。

自分のことをしゃべりすぎる若者たち

コレ読んだ。

 
 
目次見てみると。

1章 しゃべりすぎて失敗する場面
2章 しゃべり過ぎる環境の拡張
3章 「自分のプロモーション」はしないのが勝ち
4章 ネット弁慶の立ち往生
5章 沈黙に勝つ方法

という感じで興味をそそります。

「いらんこといわずに黙るべき時は空気読んで黙ってるのが吉」

という内容なのかな?
自己顕示欲や自己承認欲求のためについついしゃべったり書いたり。
しゃべって良い場とそうでない場があるということと、
社会性と社交性は違う。
社会性は社会生活を営むことができる資質・能力
社交性は人付き合いが好きなこと
ネットでうまく立ち振舞えても現実世界ではそうは行かない人がいる。
ネット弁慶は社交性が高く社会性がないとか。

最近の新入社員は「上から目線」が多くて自意識の肥大が抑えられない人が多い。

 
参考になった点は、会話の中で「沈黙になったらしゃべるな」というところ。
こういう場面では、行き詰まっていることが多いので、あえて喋らずに、
目上の人間がブレークさせるのが正しい流れなんだそうな。

多くの場合寂しさに耐えられない人間が余計なことをしゃべってしまうとか。

 
 
 

 
なんだか、参考になるようなならないような。
自分を省みて、このブログ含め、しゃべりすぎの傾向はあるけれど、
しゃべらないと全然物事が進まない状況というのは多々あるわけで、
そういうときどーすんの?ってのは問題として残りました。

会社に就職する際、面接ではその人が色々アピールするのを見るんだそうですけれど、
一番見たいのは、その人が組織の歯車の中でうまく機能してくれるかどうかだそうで、オンリーワンの人間かどうかなんてのはどうでもいいんだそうです。

個性を主張してもダメで、アドリブで窮状を切り抜けられるかとか、機転が利くとか、うまく周りと関係を作っていくことができるのが必要とか。

最近の学校は、少子化もあって学生が「お客さん」になっていて、そのへんダメなんだそうです。

 
  
 
 
で、新書なりの内容の濃さで軽く読めるんで、それなりの本でした。
・・・と上から目線でバッサリやっときましょうかね。

この本、ちょっとなんかがズレてないか?
と思うんだけれど、この違和感はどこから来るんでしょうねえ?

たぶん、ネットで活動するには発信しないことには存在すらないものになりかねないという部分が自己主張の話になっているあたりだと思うのだけれど。

なにごともほどほどにということでしょうかね?

職場うつからの生還

コレ読んだ。

この著者は最近話題の新しい形のうつ病を「平成うつ」と呼んでいますね。
かつての神経症タイプのうつがDSMなどの診断基準によって従来のうつ病と混同されてしまっているという主張は、多の書籍とも同じ。

産業医という立場から、「復職」を支える立場から記述しています。

記憶に残ったのは「シロクマ実験」について。
シロクマの生態観察のビデオを見せた後に、被験者に3種類の指示を出します。
1.「シロクマのことをしっかり覚えておいてください」
2.「シロクマのことは考えても考えなくてもいいです」
3.「シロクマのことだけは考えないでください」
1年経ってシロクマのことを一番覚えていたのは3の人たちだったそうです。

忘れろって言われるほど忘れられなくなるんですね。なるほどね。

あと、死にたいと思うときに有効なのは、短期的な目標を設定すること。
「将来何になりたい」とかいう目標じゃなくて、次の通院までに何をしましょうとかいうくらいの小さな目標を作ってステップを踏むことだそうです。

受験勉強などでも、分厚い問題集をばらして細かくして、一つづつ片付けていくといいのだそうです。

 
 
 
 
とりあえず私は「仕事のことは忘れろ」と考えるのがいいのか
「仕事のことは忘れるな」と考えるのがいいのか悩んでしまいました。

仕事自体は毎日、ここまでやろうと決めてちょっとずつ進めていますので、
おおむねOK。ただ、予定通りに進まないだけ。だめじゃん。

 
 
ところで、この医師にしても境界性人格性障害には手を焼いている模様。
「一貫した対応」が大切なんだそうです。キーパーソンを中心として。
あるときはこう、またあるときはこう・・・だと裏切られ感を加速させて・・・
ってなことらしいのですが、周りを試しているんですね。
そして自分の存在確認をしている。

 
 
しかし、新書1冊では危ういような気も。
困っている関係者が考えるきっかけにはいい本なんだろうなと思いました。

うつ病から復帰した人は増加するうつ病の人を救える存在になるので、
会社に結果として利益をもたらす存在になりうるということなので、
会社に迷惑をかけて損害を与えてしまったとは考えないでいいとのこと。

 
 
統合失調症はどうなのよ?

・・・と聞きたいけれどね。社会復帰への道はいろいろなのでしょうね。